100NLzプレイヤーが分析する一場面 ポストフロップ編~WSOP 2019 MILLIONAIRE MAKER $1,500 NO LIMIT HOLD'EM Finall Table~
- ポストフロップの流れ
- フロップチェックレンジにK♥T♣を加えたことは適切か
- フロップベットレンジにA♣K♣を加えたことは適切か
- フロップチェックレイズオールインレンジにK♥T♣を加えたことは適切か
- フロップベット・オールインコールレンジにA♣K♣を加えたことは適切か
- 終わりに
こんにちは。こんばんは。フィッシュ&チップスのフィッシュかもです。
今回は、次の記事の続きです。
ポストフロップの流れ
Board 9♠7♣J♣5♦T♥
Flop pot 24.6M(15.375bb),Effective Stack 43,275,000(27.046875bb)
BB:K♥T♣ check
BU:A♣K♣ Bet 7.7M(4.8125bb,31.3% pot bet)
BB Raise to 43.275M(27.046875bb,88.9375% pot raise)
BU 2bet call
フロップチェックレンジにK♥T♣を加えたことは適切か
まずPot Sizeが15.375bb、Effective Stackが27.046875bbのときに、BBがKToをフロップチェックレンジに加えたことは適切でしょうか。
BBのK♥T♣は、フロップで1オーバー+ダブルベリーバスターストレートドロー(DBBSD)+バックドアフラッシュドロー(BDFD)に進展しています。
しかしボードは9♠7♣J♣とドローヘビーなダブルスートミドルボード。
広いレンジでプリフロップコールできるインポジション(IP)側:BUのレンジ全体でのエクイティが、アウトオブポジション(OOP)側:BBのエクイティをやや逆転しています。
そのため、OOPはレンジの2/3ほどをチェックに回してバランスを取ることになります。
仮にKToをプリフロップで3ベットレンジに加えた場合は、チェック頻度高めのチェックとベットの混合戦略になりそうです。
なおベットする場合のサイズは、IPのEQRを押し下げるために、2/3 pot bet付近がコスパがよいでしょう。
フロップベットレンジにA♣K♣を加えたことは適切か
OOPのフロップチェックを受けて、IPのレンジ全体のエクイティはさらに高まります。
とはいえ、そもそも3ベットコールレンジが広いIP。
レンジの1/2ほどをチェックに回してバランスを取ることになります。
仮にAKsをプリフロップ3ベットコールレンジに加えた場合は、チェックとベットのEVが近い値になるものと思います。
なお、ベットする場合のサイズは、すでにOOPのEqRがフロップチェックによって十分に押し下げられているので、1/3 pot bet付近でよさそうです。
フロップチェックレイズオールインレンジにK♥T♣を加えたことは適切か
IPの31.3% pot betを受けて、レンジ全体のエクイティ差は若干ではあるもののさらに広がります。
そこで、OOPは、フロップチェックしたレンジのうち、45%ほどをフォールドします。
ディフェンス頻度55%は、MDFの76.2%よりも20%ほど小さいです。
15%ほどをレイズに、40%をコールに回します。
オーバーペア(OP)やトップペア(TP)の多くをOOPのフロップベットレンジに回しており、一方で、Jセットの多くはフロップコールレンジに回してそれぞれのレンジを守ります。
そこでフロップチェックレイズレンジは、残りのJセット、OP、TPを寄せ集めて、セミブラフレンジとバランスを図ります。
仮にKT♣をプリフロップ3ベットレンジに加えていた場合は、そのうちのいくつかをフロップチェックレイズのブラフレンジとして忍び込ませ、残りをコールに回してバランスを図ることが適切ではないかと考えます。
T♣はストレートのみならず、フラッシュドローをブロックしており、IPのフロップベットコールレンジを減らせているほか、バックドアフラッシュドローとしても機能し、さらにKと相まってダブルベリーバスターストレートドローを形成している点でエクイティ面でも非常に優れているからです。
なお、レイズサイズは、Effective Stackの残り少なさからオールイン一択でしょう。
フロップベット・オールインコールレンジにA♣K♣を加えたことは適切か
OOPのチェックレイズオールインを受けて、OOPの残ったレンジのエクイティはついにIPレンジのエクイティを上回ります。
そこで、IPは、フロップベットレンジのうち35%ほどをフォールドして、 OOPとのオールイン対決に備えます。
A♣K♣は、OOPのチェックレイズオールインレンジに対し、57,396%のエクイティを有しています。これはIPのオールインコールレンジの上位25%ほどに相当します。
そのため、仮にA♣K♣をプリフロップ3ベットコールレンジに加えた場合は、OOPのフロップチェックレイズに対する有力候補の1つとして台頭することになるでしょう。
いかにタイトパッシブなBUといえど、フォールドはまず考えられないでしょう(※)。
注※ここではChip EVのみに基づく説明を行っています。$EVに基づいた分析結果は後日掲載する予定です。
そして、リバーカードのT♥が雌雄を決することになるのです。
終わりに
いかがでしたか。
チップリーダーとのオールイン対決を避けてプリフロップ3ベットコールにとどめたことで、かえってポストフロップのオールイン対決に巻き込まれていくBU。
一方で、2ndチップリーダーとの対決にも臆することなく積極的にプレッシャーをかけにいったBB。
ここ一番でカイロスが微笑み返したのは、前髪を掴みに来た者だったという点も含めて、今回のファイナルテーブル一番の名シーンにになったといえるのではないでしょうか。
ナイスポーカー!